満月散歩

風が冷たくこの時期にしては寒い朝である。会社の門扉を開けるついでに、近くの大麻比古神社まで車を走らせた。新緑に包まれたたくさんの樹々が迎えてくれる境内の中をゆっくりと車を走らせた。歩きたいのだが時間が足りない。せっかくだからと車を止め階段を上り神殿に向かって手を合わせることにした。樹齢1000年というクスノキも大きく枝を伸ばし若草色の新芽で一杯である。改めて見上げてみるとあまりの大きさに圧倒される。歴史は繰り返され1000年もの間、喜び、悲しみ、貧困、病気等々たくさんの想いを抱いて、いったい何人の人たちがここを潜っていったのだろうか。人影はまばらで、ほぼ一人の世界である。何かいつもと違う感傷的な想いが沸くのはなぜだろう。両親を想い、友を想い、はるか昔に想いをはせる。この大木にはそのようにたくさんの人達の出会い別れをすべて包み込んでくれてきたのだろう。妙に不思議な感覚になったが、すぐに現実の世界に戻る。さぁ仕事だ、仕事!!

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