4.132023
故郷の同級生からのLINEに、新聞の地方記事の小さな写真を載せてくれていた。和菓子屋の3代目、26歳の女の子の記事。「甲子軒」という懐かしい名前である。子供の頃、饅頭といえば甲子軒だった。法事などによく用いられる餡子いっぱいの饅頭は生涯忘れられない味である。「葬式饅頭」などと子どもの頃はよく言ったものである。葬式の時に配られるこの饅頭が目当てでたくさんの子供たちは列を作った。不幸な出来事なのに我々子供たちはそんなことはお構いなく、その饅頭をほうばったものである。貧しかったあの頃の懐かし思い出を蘇らせてもらった。同級生の彼は時々このような粋なことをしてくれる。過疎が進む小さなこの故郷の町で3代目を継いだ女の子の明るい話題に、近所の人たちのほほえましい笑顔が思い浮かぶ。帰省の際にはぜひ寄ってみよう。
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