この間、故郷の友にスダチを送った。今は1年中手に入れることはできるのだが、とりあえず露地物の旬なのであり、味が全く違う、。送るという行為にも旬がある。この時とばかりに送ったのだが、お礼にと故郷がいっぱい詰まった小包が届いた。その中に田舎あられが入っていた。昔を思い出す。寒の旧正月のころに餅をつく、それはすべて「あられ」になる。色とりどりの小さく刻んだ「あられ」は乾燥させて我々子供たちのおやつになる。朝目を醒ますとカラカラとお袋のあられを炒る音が聞こえると小躍りしたものである。また大人たちは炒ったあられにお茶をかけて食べる習慣がある。「伊勢の独特のあられの食べ方」としてテレビで紹介されていたことがあった。親父たちが食べていたその光景を思い出し、私も早速真似をした。あられ、お茶、塩を一杯かけ……美味い!口の中に故郷が一杯広がった。