4.222023
少し寒い朝である。新緑には似合わない。上着を脱いで肩にかつぎながら歩ける散歩でなくては、この新緑とのつり合いが取れない。全ての木々が若草色で染まっている。その枝を鳴らすそよ風も冷たくては困る。とは言っても日中は暖かくなるのだろう。お日様はこちらを向いてにこやかに笑っている。思ったより寒かったので少し文句を言ってしまったが何とも爽やかな朝である。昨日は新茶の話を書いたが今日も少し思い出話を。今は全て楕円形に丸く刈った形になっているのを茶畑と思ってしまうが、あれは機械で刈りやすいように人が形を作っているのであって、本来は普通の植物と同じなのである。勝手に人の都合で刈り上げられ形をつくられたのでは、お茶もたまったものではないだろう。昔はそのままの形のお茶の新芽を下の方から摘み取っていった。かごを持ち家族総出で競争しながら摘むのである。祖母もいた記憶がある。全く顔も覚えていなかったくらいなのだが、その頃を思い出していたら、はっきりと顔が浮かんできた。ニッコリとこちらを見ているあの顔だ。懐かしい。すぐ上の姉が手早くうまく、私などはどれだけ頑張ってもかなわなかったのを覚えている。年の離れた上の3人の姉、兄たちはもう県外に就職していたのだろう、このときの記憶はない。新緑の風景はいろんな記憶を蘇らせてくれる。
Copyright © 株式会社マルアート All rights reserved.