ホタルが飛び交う季節なのだが、1匹も見ない。便りはたくさん耳にするがその姿を今年も見ないで終わるのだろうか。この時期ホタルが飛び交うのは当たり前。幻想的などと思ったこともない故郷の少年期。あまりの多さにホタル狩りをした思い出がある。竹ほうきを振り回し落とすそれを拾い虫かごに入れる。水草を入れ十数匹も入れるとそれは懐中電灯の代わりにもなる。手づくりのかごも作った。収穫したばかりの麦の穂を集め、その先に次の穂を差し込みながら編んでいく。一つ一つ違った形になりどれ一つ同じものはない。近所の子供たちはみんな同じようにして遊んだ。懐かしい思い出である。農薬のせいで絶滅したのではないかと思う程見なくなっていたが、10年ほど前に帰省した折、ちょうど季節が重なりそれを見ることができた。実家の前の小川の上を何匹も飛び交っていた。幻想的な光景だった。