朝4時半頃になると外は明るくなる。あの頃、ガンガン身体を張って仕事をしていた若い頃。この時季になると嬉しくてたまらなかった。当時は現場で字や絵を描く仕事が多かった。照明の明かりの中での仕事は上手くいかず、時間もかかる。それに比べると自然の明かりというのは少し薄暗くても全然違うのである。5月から梅雨に入るまでの間が一年中で一番仕事がはかどる時期なのである。4時半から動き出し夜7時くらいまで働ける、もう最高である。働いて働らいて一生懸命頑張っていたのに、食べていけるのが精いっぱい。しかし人はどんなに努力しても報われない時というものがある。それはその人にとってはどうしても必要な時間だったのだと思う。腐らず愚直に精進すれば道は必ず拓く。今になればそれがよくわかる。