またもやあの日が近づいている。11月22日、先輩の命日。今年は13回忌になるから法要をすると家族から連絡があった。あれからもう12年も経つ。とても寒い日だった。硬直した足首を何とか戻してあげようと一生懸命マッサージをしたが、こんなにも冷たいものなのかと悲しくてどうしょうもなかったのを思い出す。余命4ヶ月と宣告されても、また一緒に仕事ができるようになるのではないかと本気で信じていた。そして医者のほぼ予告通り5カ月で帰らぬ人となってしまった。意識が朦朧となるまでは病院で一杯話をした。残してゆく家族のこと、家庭の事情、仕事のことなどを毎日長く話をした。しかし「悔しい」「辛い」という言葉は一言もなかった。強い人だった。一緒に仕事をしようという約束だったので私は悔しくてたまらない。会社で社員さんが皆帰り、独りになると仕事場の方から「ガサ、ゴソ」と何かしら気配がする。「一緒に仕事してるんだ。今来てるんだ」と嬉しく思った。その様なことが何年も続いた。まがりなりにも仕事が順調なのは彼のおかげだと感謝している。私の机で一緒に仕事をしている彼の写真を眺め「イヨッ!」「昨日はゴメンな!」「まぁ頑張るわ!」小さな単語で話すのは12年たっても変わらない。毎日花をと気を付けているのだが、枯らしてしまうこともある。そんなときはホントに「ゴメンな」である。最近はその気配も感じなくなってきた。私の心の整理がだいぶついてきたのかも知れない。2年ほど前に体調がかなり悪いときがあった。ヤバいかなと思うくらいだったが私は写真の彼に言った。「あんたの分まで生きなくてはいけないんだし、あんたの分まで幸せにならんといかんのだよ、迎えに来るのはまだまだ早いよ」。解ってくれたのか体調は日増しに良くなっている。私も70歳を過ぎてしまった、体力はイマイチだが気力は充実している。自分のためにも、彼のためにもまだまだ引退はできない。私には彼の分まであるから、これからだな!時間はたっぷりある!