満月散歩

突然

前に1台の黒ナンバーの軽の箱バンが走っている。突然、先日亡くなった姉の顔が浮かんだ。そういえば80歳くらいまで黒ナンバーでメール便配達をしていたよなって。あちこちに付いた車の傷に心配した娘から「そろそろ引退してもいいんじゃない」との言葉。もっと続けたいがそれもそうだよね、皆に迷惑をかけるだけだから‥‥そう言っていたのを思い出す。あの声、あの顔、全てが懐かしく目の前に浮かぶ。涙がこぼれてどうしょうもない。夢によく出ると人は言うけれど、私は両親も姉も夢には出てこない。日常の何気ない時に突然顔が浮かぶことが多い。車の運転中が最も多く、信号待ちでふと畑の方を見ると両親がこちらを見て笑っている。夏の暑い朝だったが、当時着ていた服で汗びっしょりになって畑仕事をしている2人の姿である。どっと涙が溢れたのを思い出す。そんな感じで姉の顔が突然目の前に現れることが多い。頬骨が少し張った顔、少し太いあの声「みっちゃん今度はいつ来てくれるの?」もうすぐ49日。この日だけは外せないよな、待っててな!

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