早朝、車の中の温度は13℃となっている、さすがに寒い。秋は駆け足で通り過ぎて行くのだろう。もう50年も前のことであるが、アントニオ猪木の訃報で思い出した。おふくろは大のプロレスファンで、金曜だったか、8時のゴールデンダイムのテレビ中継を楽しみにしていた。若き猪木の登場ですっかりファンになっていた。「猪木はええねぇ、素早くて!」これが口癖だった。まったりした馬場と比べていたのだろう。秋の夜長、そんな懐かしいおふくろの事を想い出してしまった。時代は一つ一つ消えていく。元気はつらつの猪木も逝ってしまった。それぞれに与えられた時間と時代を全うして人は消えていく。自分達も結構な年になってきているが、それでもまだまだ未来は永遠に続くように思っている。だから生きていけるのだろうが、ちょっと立ち止まりふり返ってみてもいいのではないかと思ってしまう。秋は淋しくて、悲しくて……。