
3.212025
食堂で昼食を共にしていると「この近くに桜の名所はない?」とその彼が言う。「がん患者の友人に桜をみせてあげたいのよ、かなり悪い」という。毎年たくさんの場所に車を走らすのだが、ここが一番などと言えるところは人が多すぎるという難点もあり、なかなか思いつかない。神山などと言うところは若い木々が多く見事な桜の町になっている。たぶん町の活性化に一肌脱いだ人がいるのだろう、20年、30年ほどの枝垂れ桜が実に見事であるである。川島のチェリーロードと呼ばれる峠越えもまたきれい。阿南市羽ノ浦町の桜のトンネルもいい。あげればきりがないほどであるが、それを話せば、知っている、それも行ったことがあると返事が返ってくる。知ってるじゃんと言いたいところだが、やはり深刻なんだろうなと思う。何としても一生の思い出に残るようなものがほしいのだろう。昨年亡くなったT君を思い出した。車を止めた目の前に桜がきれいに咲いていた。その写真を撮り「春が来ました、桜がきれいに咲いてます」と写真とともにラインをした。それからしばらくして彼は逝ってしまった。名所でなくても、どんな桜でも、きれいだなぁと思えるならそれでいいのだと思う。高速道路のサービスエリアの駐車場なのだが、今年もその花を見にこうと思っている。
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