9.232023
「暑さ寒さも彼岸まで」。今日は彼岸の中日、秋分の日である。やはり残暑は厳しいが、夕方作業場の扉をカタカタと鳴らしている風は、さすがに秋らしい爽やかな風である。少したたずみ気持ちのいい風に頬を出してみる「うん、うん…あぁこれはまさしく秋の風」。朝まだ夜が明けない暗い中をひとりの青年が走っている。健康のため、趣味のためなどで走っている走りではない。これからシーズンになるであろうマラソンの大会を目指している競技者の走りである。50年以上前を思い出す。練習をすればするほど早くなる。誰にも負けないから楽しくてしょうがない。自分にもこういう時代があった。こんなのはいつまでも続くものだと疑いもしなかった。ちょっとさぼってもすぐに取り返せる、青春は永遠に続くと信じていた。しかし時間というのは実に残酷なものである。物凄い勢いで過ぎ去っていく。「良かったんだなあの頃は…」青春は過ぎてから思うもの、分かるもの。その青年の走る後ろ姿を眺めながら、あの頃を懐かしく想い出してしまった。
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