大きな雷の音である。「梅雨明けか」と勘違いしてしまう。強い雨は断続的に雷とともに続いている変な目覚めである。さすがに雷は止んだが雨は降っている。今頃こんな雷が?と思ってしまうが、思い出した。古い古い話である。私が小学校5年生のときの正月のことである。あの頃は冬休みでも正月だけは登校し式典があった。そして最後に紅白のまんじゅうをもらって帰るのである。その日は一面真っ白な雪だった。突然大きな雷が鳴った。爆弾が落ちたかと思う程の音だった。女の子たちは傘を放ってその場から一斉に走って逃げた。私も震えるくらいに怖かった。「今頃なんで?雷は夏だろう?」何か不吉なことが起こるのではではと不安になったのを覚えている。一つ上のS君が「俺らの年や虎や!」と叫んだ。だから寅年、つまり私はウサギなので5年生。それで今でもしっかりと覚えているのだろう。帰り道には傘が何本か落ちていいた。しかし紅白の饅頭は一つも落ちていなかった。それだけは放さなかったのだろう。50年近く前にもなる日本がまだまだ貧しかった頃の思い出である。