この間久しぶりにフェリーに乗ったと書いたが、このフェリーには思い出がいっぱいである。46年前初めて徳島に来た時も南海フェリーだった。徳島に住む姉に逢った後、高知に行こうとしていた私は、港で釣り糸を垂らしている人に目が行き、その横で竿先の「ウキ」をじっと見ていた。するとその人が声を掛けてくれた「釣り好き?」「ハイ」「旅行中?」「まぁそんなとこ、これから高知に行こう思っている」「明日一緒に釣りに行こう。今夜はうちに招待するからおいで」そしてその夜は一緒に近くの銭湯に入り夕飯をごちそうになった。少し身の上話。徳島はこれが絶品なのよと「すだち」を紹介してくれた。訳ありで県外から徳島に来ている料理人だそうだ。夕食はすごくおいしい本格的な料理だった。お互い訳あり同士、深くは話さなかった。そしてそのまま泊めていただいた。朝食も美味しかった。それから吉野川河口にハゼ釣りに行った。すごく楽しく不思議な2日だったのを覚えている。名前は「高倉」さん後ろが健さんだったら・・・そんなはずはない。「またね!」と別れたがこちらは高知に行く予定、まさかそのまま徳島で住んでしまうとは思いもしなかった。後でその場所を何回も探したが土地勘が全く無い私には無理だったし、今のように携帯電話もない。あれから46年それきりである。しかし何かしら、徳島に住む不思議な「縁」つなぎをしてくれた人なのかもしれない。徳島で何が一番?ってよく聞かれるが、即座に「すだち」と私は言う。