弟からお中元が届いた。水ナスの漬物である。毎年届けてくれる絶品の品である。食が細くなるこの季節には実に口に合う。早速頂いたが流石に顎が落ちてしまいそう、は言い過ぎか。反対に兄からは「もうお中元、お歳暮はやめにしよう」と連絡があった。この季節何か美味しいものでも送ってあげたいと思っていたのだが、なかなか難しいものである。良かれと思った行為でも、人によってはお返しなどで気を使い大層になるのかもしれない。週刊誌のエッセイで伊集院静が書いていた。昔ながらの大切な友が毎年この季節になると立派な「サクランボ」を送ってくれていたそうだ。ところが数年前に亡くなった。しかしその後も彼の奥さんが同じように届けてくれていたそうだ。奥さんがどの様な想いでサクランボを調達、荷造りしているのかそんなことを考えると辛いものがあり、手紙を書いたという。「もうこのようなことはやめましょう」と。亡くなってしまえばそれで終わり、たぶん日本の古いしきたりにはそういう決まりごとはあったはずだとも書いていた。さて兄のことだがどうしよう。そうだ手紙を書こう「拝啓お元気ですか……」こちらの方が大切だったはずなのに、長らく筆も握っていない。ヨシ!